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葛飾区お花茶屋が舞台というところに興味を持って手にした本。 なぜならそこは、私の(日本の)家がある処の隣町だから。結婚して3年くらい住んだけれど、好きとか嫌いとかいう以前にまだ自分の一部にはなっていない町。だから、もっと知りたくて・・・。 2時間ほどで一気に読破。これは下町を舞台にしないと書けない素敵な物語だなあと思いました。 主人公の「あたし」(山田香な子)が語る、同級生の「こーもり」こと小森くんとの関わりを中心にした「東京下町に暮らす小学5年生」の等身大の日常。 そこには子供なりの喜び、哀しさ、夢、諦め、嫉妬、恋慕がありました。 これから大人になっていく時期の彼らが抱く複雑な感情が生き生きと描かれ、それだけにけなげに生きる姿が心に迫ります。 様々な哀しさを含みながらも、人間の暖かさと夢を感じさせるラストがニクイ。「幸福ロケット」発射!どこまでも幸せに飛んでいって欲しい。そんな気持ちで本を閉じました。 こういう、平凡だけれど人の機微を感じる子供の日常はいろいろな家庭環境を持つ人が共存する下町でないと描けない。 サラリーマンの多い山の手には、面倒見のいい近所のおじさんは少ないし、 苦しい生活をしている人が身近にいない。その結果、共同体で助け合おうと言う意識は希薄になっているだろうし、子供は親以外の大人とはあまり関わらない。一方、田舎は田舎で、違なる価値観を傍観し受け入れる間口がない。 だから、やはりこの物語の核は「下町が舞台」というところにあると思う。 子供のころの、未熟ながら一生懸命生きていた気持ちを思いだしたいときに、ぜひ読んでみてください。韓国ドラマに負けないくらい「べただけど素敵」な大人顔負けのラストシーンにもご注目! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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