美意識が高じるとこうなるのぉ~
森茉莉さんの短編集
「ボッチチェリの扉」「恋人達の森」
「枯葉の寝床」「日曜日には僕は行かない」
には愕かされました
男同士の恋愛関係を
舞台は日本なのに
仏蘭西にいるようでも、どこでもなくて
道具立て豪華絢爛、濃く、蜜に描きながら
はてさてなんだっけと
ストーリーがあるようでなくて
やたらに美男が登場し、長いまつげの影がやどり
必ず死人が出るのに
恐ろしくはなくて、ばかげたほどロマンチックで
翻弄されて
最後まで読んだのでありました
『わたしの中のアリスの世界』というエッセイ集を読んだときは
森鴎外の娘臭はあるけれど、それはそうだから仕方がなく
生活のひとこま、一片にピカッと光るような
思いを寄せている姿が好もしいと思いました
あのころのフランス映画(アラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモンド登場の)を
思い浮かべて創作をしたのだ、とエッセイにあるから
ああ、そうなんだろーなー
わたしだってむかしそんな映画を観た後は
画面の登場人物になったような気持ちで歩き帰った経験がありますもの
こんなに美しい言葉を尽くしてきれいに書けるなんて
やっぱり鴎外の娘です
恋人たちの森改版