アーネスト・ヘミングウエイ『誰がために鐘は鳴る』
2月はほとんどこれで経過
文庫が改版されて活字も大きく読みやすく
さすが大久保康彦訳丁寧な訳文でわかりやすく
文章が込み入っていたのでもなく
むしろ簡潔で、しかも情緒的たっぷりで
ストーリーが起伏に富んでおもしろく
やっぱりヘミングウェイ一番の傑作だと
戦いと男と女と、生きるか死ぬか
少々メロドラマ風でもあり
いや
そんな風に言っては失礼であり
ファッショと闘う人民軍という設定が
中東の民主化デモの殺戮が
オーバーラップして
深く、深く考え込んでしまった
人間の戦い癖、殺し合いは止まるものか
生まれて死ぬるはなんぞや
扉の言葉(ジョン・ダン)がとてもいいので
写しておこう
なんびとも一島嶼(とうしょ)にてはあらず
なんびともみずからにして全きはなし
ひとはみな大陸(くが)の一塊(ひとくれ)
本土のひとひら そのひとひらの土塊(つちくれ)を
波のきたりて洗いゆけば
洗われしだけ欧州の土失せるは
さながら岬の失せるなり
なんびとのみまかりゆくもこれに似て
みずからを殺(そ)ぐにひとし
そはわれもまた人類の一部なれば
ゆえに問うなかれ
誰がために鐘は鳴るやと
そは汝(な)がために鳴るなれば
後は平岩弓枝の『獅子の座(足利義満伝)』一冊
読み終わったのみなり