カテゴリ:読書メモ
毎日、毎日不安になってくる深刻な状態に読書どころではない けれども フランス人である作者が日本の禅の庭に惹かれてインスピレーションを得たという『シンプルに生きる』(ドミニック・ローホー)を読んでしまって腹が立った。 何も新しいことはない中身の薄い本だった。なんでこれを日本語に翻訳したんだ!フランスやヨーロッパでベストセラーでになってればいいじゃないか!とやつあたり。 重版になってるから日本人がいかにおフランスに弱いかということを露呈している。買ったわたしもバカだった。 それで思いついて 究極のシンプル術の『方丈記』を取り出して読んだ。 行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず、よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、ひさしくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。 とここまでは暗記するほど知っていたがその先がすごかった。 大火事災害に台風の被害、飢饉、そして地震災害にみまわれ右往左往する、こんな暮らしにくい世の中で物欲名誉欲の煩悩に翻弄されているあわれなひとびと。自分とて他人を羨み、他人から自由になりたく、情に流されれば立ち行かなくなり、世間の習慣に従わないと変人あつかいされる。いったいどうしたらいいのだろう。 特におおなゐ(大地震)の描写は印象深く読んでしまった。おおむかしとちっとも変わらない。天災は繰り返すのだ。 そしておちぶれた鴨長明は「身ひとつ」になり、心の不安をおさめ自らの救い求めとり戻すために、方丈の小屋に暮らしその愉しさゆたかさを語る、というのがこの『方丈記』 文庫本30ページ、短いし古文といえどもわかり易い。なんだか、なんだかとても参考になった。 大事なものは自分が持ち運びできるものだけだったのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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