三浦綾子さん描く『果て遠き丘』のヒロイン香也子
世の中の誰よりも幸せでありたい!とエゴ丸出しの甘ったれ若き女がやることなすこと旋風を巻き起こすストーリー。
他人が幸せそうだったり、うまくいっていると強烈な嫉妬心を起し、周りの人を不幸にするような言動を繰り返し、あげく他人の人生をぶち壊していくのだ。
すなわち義姉や姉の恋人にちょっかいを出し、横取りしようとする、ほんとに好きになったわけでもないのに、嫌味な女。
この小説にはそういう性格にならざるを得ない理由が描かれているし、結果、敗北していくらしい様子で終わっていて、否定的にとらえているようにも思えるが、実は「自己中心に考える」これは人間、致し方ないところであると言いたいのであろうと思う。
『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラが読者に与えた印象のように憎めない、というか、なにがなし共感してしまうところがあるからおもしろい否、おそろしい。
「エゴイステイック」という自分を甘やかす蜜はおいしいか?
イエース!
だからこそ道徳、公徳心、宗教、秩序などと人間はあらゆる「かせ」を考え出しているのである。
意志でもってなさなければ矯められない「さが」がエゴである。
【中古】文庫 果て遠き丘【10P18May11】【画】