伊集院静『お父やんとオジさん』と『少年譜』を読んで
伊集院さんと言えば
白血病で若くして亡くなってしまった
美人女優夏目雅子さんとセットで浮かんでしまって
ご立派な作家さんと(直木賞など)いうことを忘れて
食わず嫌いではないけれど
文学を嗜好する者として、関心も持ってなかった
などと大きな声で言ってないが、、、
「なかなかのものよ」と例の友人が貸してくれた
『お父やんとオジさん』を読み始めたら止まらない
日本に住んでいる朝鮮半島出身の二世であられる作家さんだから
わたしの好きでないお涙ちょうだい式の
ユダヤ人がらみの小説や映画みたいなのではないか?
という予想は、ばっちりなんだけれども
小説としていや文学として、ぴたりとはまってしまったのよ
やさしい文章、改行の多い読みやすさ
(わたしの最近の文学で嫌いなところだ)
なのに
この語りかけてくる重い想念に感動する
太平洋戦争後、祖国朝鮮半島に帰ったオジさんが
朝鮮戦争勃発などで幸せになれなかったらしいこと
日本で暮らすことを選んだその姉も
離れた家族の心配がつきない
とストーリーは単純そうなのだが
淡々と平明な文章で
エンターテインメントとしておもしろく読ませて
(さすが朝鮮戦争の記事的事実は丁寧であるが)
もうひとつの見方、事実を考えさせられる
物語性に富むおもしろさがとてもある
作家としての熟練もあるのだろ
一つ覚えのように「歴史認識」と騒いでいるどこかの朝鮮半島の人に
「これを読みなさい、これぞ歴史認識」と言ってあげたい
結局、誰か(日本)を恨むのではなく
なぜこうなったのか(朝鮮半島の不幸)を考えられないなら
未来はないんじゃない?と思いたくなる
伊集院さんはこれを書くために作家になった
とおっしゃっているらしいので
それでは別の作品もと『少年譜』という短編集も読んだ
こちらは初々しいさに富んだ少年の成長物語を
文学的な、あまりにも文学的な表現であった
初期の作品かなと思ったら今世紀に入ってからのもの
手練れなのかなあ
えっ?女性にも?
ゴルフもうまいらしいよ
へへへ
こちらの『少年譜』もわたしは好きだ