ちょっと惹かれるタイトルでしょ?
城山作品は男性的っていうのが定評だと思う
わたしは『落日燃ゆ』などの作品を
粛々たる気持ちで読んできた
ところがこの作品はめずらしく女たちのものがたり
東京郊外ニュータウンでおだやかな生活をしていた38歳の
平凡な専業主婦の主人公がひょんなことから世に出て働いていく
「いま、あなた本当に生きている実感があるの」
と、やり手の女友だちにささやかれて
その過程のさまざまなあれつきが描かれている
いわく、女ゆえ信用されない仕事のむずかしさ
子供との関係、夫との関係...
そうして結局、ほどほどに保守的な主人公が軟着陸
誘ったイケイケ副主人公も事業に失敗して挫折
それでも再びをめざす女友だち
「わたしが妻を持ちたい!のだった」との叫びを発しながら
まあ、今ではちょっと古め話題
しかし
この単行本は2007年(平成19年)に発行されたのだが
はじめて新聞に連載されたのは1986年(昭和61年)なのだ
ああ、80年代!バブル景気の真っ盛り!
当時わたし40歳代
まさに「本当に生きているのか?」と悶悶としていた記憶が...
当然、思い出しながらシンクロしてしまったのだった
あれから30年近くたった
現代においても
女性が社会できっちり仕事をするのは
並大抵の苦労でないこと
変わらないと思うけど