前から気になっていた一書、吉田修一さんの『悪人』を読みました
映画にもなった話題作ですね
ストーリーは
ある若者が携帯サイトで知り合った若き女性を殺人してしまい
逮捕をから逃れるために
またまた携帯サイトで知り合った29歳の女性とともに逃避行のあげく・・・
と、超単純な事件のようですが
殺された女性の状況、若者のおいたちと性格、一緒に逃げた女性の事情
の多方面から描かれていて、たしかに読み応えありました
構成がいいというより、登場人物一人ひとりによりそったフレーズの部分が秀逸
「そうだよね~、このことってわかる!」
という人間の生き様より浮かびだしたような描写
たとえば
殺された女性が携帯サイトで男と付き合ってることを打明けられていた友人の
「子供のころから友達を自ら選ぶというのではなく、
いつも誰かに選ばられるのを待っているような性格」
だから友人が少なく
会社で全く性格の違う被害者の女性と友達になれほっとしていた
けれどもそんな性格だから
打明けられた友達の冒険を一緒に味わって楽しんでいた恥から
事情聴取に真実を言えず、事件の解決を遅らせてしまう事情
犯人の若者のおいたちのリアルさ、一緒に逃げる29歳女性の寂しさ
文章のそこここにうなずいてしまったのです
そして最後に「あっ!」と驚く結末の人間臭さがおもしろかったですね
この世の中「悪人」なんていない、とは思いませんけど