カテゴリ:読書メモ
山崎豊子さん、最後の未完作品。
二つの点で興味惹かれる小説である。 * 高齢と病身である山崎さんの渾身の力はいかなるものなのか * 作者テーマである「戦争と平和」を描くとしても、自衛隊から掘り起こすとは 上記は当時(2013年)文芸関係で話題になった。 氏の秘書野上孝子さんも解説で 「まさか先生、自衛隊を書くのではないでしょうねと、飛び上がった」 と書いていらっしゃる。 「先生には『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』という戦争三部作がある。 その作者がどういう視点で自衛隊を書くのだろう。」 山崎氏全作品読破のわたし、文庫になるのを満を持ししていたので、さっそく。 さすがです! 自衛隊が批判にさらされた「潜水艦なだしお事件」を題材にフィクションが始まる。 その潜水艦の若き乗組員が主人公。 一般人の犠牲者がたくさん出た、あってはならない事故である。 たまたまその事件に遭遇してしまった真面目な悩みを通して 自衛隊とは何かを問う設定。 読んだところ、かなり自衛隊を肯定している。 「かなり」っていうところが今の国民の気持ちだと思う。 山崎節炸裂の力作ですが、第一部完結とはいえ、物足りないのは仕方ありません。 でも、書かれなかった全体の予定構造の概略が巻末に付録してあって、 第二部、三部と続くらしいが、それを読むのがわたしには非常に面白かった。 病魔と闘いながら、きちんと第一部を終わり後の構想を残しておく。 残念だけど好感持てる終わり方。 最後まで書きながら死ぬ、これぞ作家冥利ですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年12月26日 11時56分13秒
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