カテゴリ:読書メモ
「小説を飲食物にたとえると」『楡家の人々』は「山海の珍味が入った豪華な鍋料理に当たります。」
評したのは倉橋由美子(『偏愛文学館』)さん。 そう 豪華な食事、いえ読み応えのある小説でした。 歌人斎藤茂吉の息子北杜夫がご自分の実家「青山脳病院」をモデルにして 祖父母、叔父叔母、父母の生き生きした姿を明治大正昭和と描き切ったのですから。 脳病院!これだけでも尋常じゃありませんよ。 呼称は時代的でもちろん、今や精神科病院でしょうけど。 個人医師の経営するそういう病院・入院者もいろいろありそうですが、 明治期「脳病院」を創設する祖父基一郎(きいちろう!)さんをはじめ 経営する家族・人々の模様も尋常でなく、悩ましいというわけで なんでこんなに楽しく面白く描けるのか、ユーモアの秘訣とはこれか、です。 こうなると人間、尋常の人とはどういう人なのか、案外つまらない人なのに違いありませんよ。 時代経過にそったストーリーは知らず知らずのうちに戦前史を辿ります。 例えば1941年(わたしの生まれた年ですが)真珠湾攻撃に至る生々しい経過が迫真。 「ああ、そうだったのか!」と、とても興奮しました。 倉橋さんは「無人島に持っていく一冊の有力候補」「何度食べても飽きない」 だそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年06月03日 03時11分01秒
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