蜃気楼を「海市」と呼称するなんて、すてき
というちょっとミーハーなあこがれで読みたかった小説です
これも倉橋由美子さんが例の
『偏愛文学館』で究極の恋愛小説とおっしゃっているのですが
ストーリーをありていに言えば
男の友人に失恋した女と結婚してしまった男と
結婚相手のうちの二番手と結婚した女が
ダブル不倫になった・・・ため苦しむ・・・
はあ?
勝手にしてクレい~~!
と言ってしまえば終わりなんで
そんな不合理な恋愛は破綻するってのは、常識
死者が出ますね
でも、不条理だから究極の恋愛物語というわけでして
蜃気楼でなくても幻の城郭をさまよう空想をたまらない楽しみに思う、フィクション好きには
架空上の恋愛物語も興味津々で、どうなることかと読み終わってしまうのであります
そして、合理性を巻末に見つけたりしてね
「東方の雲海 空また空 群仙出没す 空明の中・・・」蘇軾「海市」(『偏愛文学館』)
「海上に蜃気、時に楼台を結ぶ 名付けて海市」(池澤夏樹「海市」解説)