冷静に、あるいは卑近に考えるとこの一遍は危うい人生の一コマである。
主人公「ぼく」が「株操作で儲けをだしてお金を貯める」手伝いするはめに、いえ、名義貸しすることになるストーリーだからだ。
そう、書き出しに
この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐ立っている。・・・・・・・・・
という、青春の輝きのような、青春における教示のような、文章が意味不明になる
と思うわたしはそんなにわけしりな、人生経験豊富なのか?
そんなあ~、わたしだってわかるよお
と、ため息が出るような文と内容であった。これが池澤夏樹さんという作家の真骨頂ね。
未熟ではない、かと言って老成でもないみずみずしい人生の術、か
ところで、
この本の前にやはり芥川賞、
綿矢りさ『蹴りたい背中』を読んだばかりだった
そこでも断然、わたしも高校生にもどってしまって臨場感があったの
さすが、19歳で振り返れば(書けば)みずみずしいものだ
いえ、才能ある書き手にかかれば読書の楽しみが倍増すのだ
という青春アドベンチャー読書メモ