カテゴリ:読書メモ
森敦さんといえば最高齢(62歳)で芥川賞を受賞したという印象、
それは1974年のことで のちに(2013年)黒田夏子さんが75歳で受賞なさって記録が塗り替えられた そのことも話題になった すなわち、世に知られるのが遅いということである そのような作家の作品は奥深いかもしれない という期待を裏切らない、森敦さんの『月山』を初読みで なるほど、ストーリの内容としても文章としても味わい深いのであった 枯淡かな思えば、この物語の主人公の年齢はまだ若いらしい 未だ生を知らずなどと扉に掲げて、実社会からの逃避して 月山という奥深い雪山寺での極貧生活をやる なのに山の生活は 生々しいような、霞がかかったような、にぎにぎしい有様 ここもにも過去あり、現実あり、将来がある と言えば月並みのようだが 導入文章に魅せられる ながく庄内平野を転々としながらも、 もちろん、作者森敦さんが若い時に文才を認められつつもその後長らく放浪生活を おくっていた作家だとの印象があるからこそ、どんな?なぜゆえに? という興味が湧くので、いやましに期待するところもある 『鳥海山』のほうも同様の漂白旅路の果ての決算のような物語で 名文でありながら、遅れて再登場というキーワードが 後押しにもなれば、でないと書けなかったのではないかという作品であった お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年09月16日 09時48分40秒
コメント(0) | コメントを書く
[読書メモ] カテゴリの最新記事
|
|