カテゴリ:名作の散歩道
昭和がレトロになって久しい。
そんな話題にうってつけのエンターテインメントだ。 昭和を知っている人も知らない人もすごく楽しめる小説、わたしの今年一番のお薦め。 あの頃は、とにかく希望がいっぱいあった。 (今の北京みたいに、いや、昔のロンドンみたいに)東京が煤煙で汚れていても、明るかった、活気があった。 そんな東京の避暑地、温泉地箱根に勃発した観光道路開発戦争。 それに加えて地元旅館の争い、お家騒動。 「箱根の山は天下の嶮じゃなくて、ケンカのケンだぜ」登場人物の独白。 自然のきれいな空気も硫黄でなくても濁りそうで、息苦しいような。 だけども他人の喧嘩はやじ馬にとって実に面白い。 そこを作者はうまーく捉えて、だーだだーっと読ませる。 青春物語もあり(しかも純情可憐な)なお、経営学方面、地質学も加わり、多彩に発展する。 陳腐に落ちず、飽きさせない。 昭和を知っている人はクスリと笑い、獅子文六の「先見の明」にハッとする。 知らない人は昭和ってこんなに明るかったのねとびっくりされればよろしい。 閑話休題 この小説は昭和36年(1961年)3月から10月まで朝日新聞に連載された由。 わたしちょうど花の19~20歳(笑) 堤と五島のケンカを下敷きにして面白おかしくと話題であったのに、娯楽小説などは「フン!」見向きもしなかった。半世紀も過ぎてやっとその気になったのはだいぶ損をした計算になる(笑) ものすごく笑った一節 東京でサラリーマンになる乙夫がスーツ(背広)をあつらえるのに 「ブラ下がりにしておけ」と親代わりが言う(そう言ってた、言ってた! 笑) わかるかな~~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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