この小説の書き手である主人公杉村三郎は、解説(杉江松恋)に
「宮部みゆきが初めて書いたハードボイルド・ミステリーの主人公なのだといえます。」
とあるから、へー、ふ~ん、ハードボイルド小説なのか?
逆玉の輿、つまり大金持ちの娘と結婚して、その義父の事業のうちの子会社で働いているだけで、妻の持参金による優雅な暮らしをしていて、探偵
ごっこをするはめに、という夢のような人生の杉村三郎。
ことあるごとに「あんたはいいよねえ」揶揄され・陰口きかれても、どこ吹く風、といっても杉村三郎の性格がいいから嫌味でない、とくると
「そんなにでれっとしてるんじゃないよ!」とチコちゃんになってしまうけど(笑)
宮部さん初期の作品はほとんど読んでいるので、相変わらずわかりやすくて、読みやすい描き方だ。ともかく安心して読めるところがいい。
本屋さんで連作ものの第一弾ということでひさしぶりに手に取った。
『名もなき毒』『ペテロの葬列』『希望荘』と杉村三郎風のハードボイルドが続くらしいが・・・。