2001年、911アメリカ同時多発テロの衝撃の後、イスラム教ユダヤ教キリスト教についての本を少しばかり読んだ。読んだけれどもよくわからないというのが本音である。
その当時集めた中で今までなぜか読まず最後に残ったのがこの『イエスの生涯』もうすぐクリスマスだが、この本はイエス様が厩で生まれたとは書き始まっていない。ところがこれがわかりやすかった。遠藤周作氏の人柄と作家の力量だからだろう。
西洋画に書かれた神々しい像は、後の時代の想像力によってなされたので、容貌も平凡な中東人がどうしてイエスキリストなのか?
イエスはユダヤ人で大工さんであった。ナザレというところで30~40代まで近親者と働いて暮らしていたが貧しかった。そんな普通の人が思うところあったのか、困る身内の反対を押し切り、捨てて家出してしまう。そして放浪の生活。原始キリスト教に出合のだが、原点は貧困にあえぐ人々への同情。奇跡を起こすでもなく、救済者メシアでもなく、何にもできない無力者のイエスが政治的陰謀にはめられて、ゴルゴタの丘で十字架にかけられてむごたらしく殺される。その処刑されたということにキリスト教の意味があるという、遠藤氏の直観力が開示される。
おおざっぱに言ってしまったが、遠藤氏が思索なさったことに妙に納得してしまった。
この後編に『キリストの誕生』をお書きになったが。
ちなみに
2001年、当時読んだ関連本を(まだブログをしていなかったので)挙げておく。
『イスラーム 』蒲生礼一
『釈迦とイエス 』ひろさちや
『ユダヤの民と宗教』 A.ジークフリード
『ユダヤ人 』J.P.サルトル
『エクソダス 1 2 』レオン.ユリス(犬養道子訳)
『キリスト教がよくわかる本 』井上洋治(『イエスの生涯』の解説も書ていらした)
『ビンラディンのイスラム教とユダヤ教キリスト教 』神辺四郎
『イスラム過激原理主義 なぜテロに走るのか』 藤原和彦
『旧約聖書を知っていますか』阿刀田高
『新約聖書を知っていますか』阿刀田高
中東やイスラエルについてはまだまだ進行中で奥が深い。