『誰か Somebody』の続き、杉村三郎シリーズ第二弾
逆玉の輿で大金持ちのお嬢さまと結婚して、義父の大会社で働く主人公が安穏と暮らしていくうちに、ぶつかるとんでもない人たちの非日常なふるまいの数々。
安穏主人公、そりゃあ人にやさしくもできるよ、そう見えてもそれはそれで苦労もあるのだよ、と言っても説得力はうすい。その優しさ故、次々と厄介ごとに巻き込まれる。
ところが、事件にぶつかるたびに、
読者も描かれた主人公も「幸せ」を絵に描いたような安穏な生活に満足してるんだろうか。「本当はどうなんだろう?」と、段々、だんだんと迷ってくる。
心と体がバラバラでそれが・・・、いやいや、まだハードボイルドにはなってはいない。
しかし、ぶつかる事件たるやものすごい。そのひとつ会社で主人公の仕事を助けるアルバイト「原田いずみ」のトラブル連続は尋常ではない。しかもうその毒を吐きまくる姿はおぞけをふるうほど。ほんと普通ではない。
しかし「普通の人とはどんな人なのか?」ということになるとあやふやになる。穏やかな日常が異常ではないのか?ということが突き付けられる。読みやすいなにげないような文章だが、宮部みゆきさんの筆力がすごい。
さすが!続きが読みたくなる。