再読です。ちゃんと感想を記して
(2006年9月27日)いるのにすっかり忘れています。感想を読み直してみるとわたしは主題(神の存在)を意識して読んでいません。同じ作家の
『イエスの生涯』を読む前と後では理解度が違ってくるということだということです。
「遠藤氏のごく初期の作品であり、・・・」(文庫解説山本健吉)確かに新鮮さと勢いがあります。解説最後に
「作者は小説の中で、神の存在を証明するためには、いっそう氏のこと抱懐する主題を掘り下げなければならない、・・・」(昭和35年1960年)と鼓舞するようにお書きになっています。遠藤氏の友人ならではで、ないでしょうか。
処女作
『白い人』で芥川賞を受賞したのが昭和30年(1955年)それから18年後に
『イエスの生涯』(昭和48年1973年)を書かれています。つまり作家は年数をかけて主題を掘り下げていって成功しているのです。作家はそういうことができれば幸せでしょうに!
そんなことを確認した再読になりました。