カテゴリ:読書メモ
本からむんむん「におい」が立ち昇るってくるような小説でした。
18世紀パリ、街はくさかった。川はくさかった。広場はくさかった。 臭かったでしょうよ、昔の都ならどこの国でもみんなごみごみ雑多でそうだったのでしょう。その反面いい香りが強烈に感じられ、好まれます。自然の中にもありますが、人工的な香水が欲しい、必要になります。現代と違って自然から抽出する香り、バラ、ラベンダー、ジャスミン、スミレ、水仙・・・に油やアルコールなどを使って調合する手数のかかる工程で作られる香水や化粧品などがもてはやされたのです。 パリの場末で文字通り産み落とされた孤児グルヌイユとい男の子が、強烈な嗅覚を持っていたために「香水調合室師」の修行しつつ成長して、自分の好みのにおいに執着するという物語。単に修業ではなく職人気質とは違う、彼の好みの異常さでオタク的な人間になってしまうのでしたが。 物語構成はうまいし、文章の隅々に「ああ、なるほど」「わかる」心理がばらまかれていて「シンクロしてる!」と思うったりして、主人公は挙句の果てにたくさんの人を殺してしまうのですから怖ろしいこと。そのように人の心をつかみ世界各国でベストセラーになったのもうなづけますし、夢中で読めて面白いこと請け合いです。特に香水が作られる過程には興味がわきました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019年02月09日 13時40分23秒
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