職業安定所に行って頓珍漢な会話をしまくり、正直で純粋だけどその場にそぐわない、おばあさんというにはちょっと早いブリット=マリーという主人公登場から始まるお話。
1980年代に流行った「飛べない症候群」の遅れてきた版のような気もするが、所がスウェーデンという国だろうが(だってそういうことにいち早く進んだ国のはず)社会の体制が整っても、性格や気質や成り行きのせいで乗り遅れる場合もあるんだろう。
場が読めない性格でも「前期高齢者、経済危機、過疎地域」のキーワードで小さな田舎町に就職することが出来、そこで始まるリアルのようなおとぎのような話。
部類のきれい好きで、なにもかもきちんとしなくてはならないのは気の利かなさに通じてしまう。家庭でも夫婦関係でも社会でも。その性格に加えて過去も徐々に明らかに・・・それがちょっと哀しいのだけれども。
世界共通の人間観察もいいし、一気に読めるおもしろさもあり、読んでよかったという魅力ある一冊でした。