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やっぱり読書  おいのこぶみ

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2019年03月05日
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カテゴリ:読書メモ
あるきっかけで、どうしても再読したくなって3回目です。
といっても2回続けて読んだのも12年前のこと、ストーリーもおぼろなのです。

前回の感想​を読んでみると、わかりにくいストーリーだというばかり、夏目漱石などを引き合いにして周りから攻めているようなので、今回は内容に食い込んでみましょう。(ネタバレというか、勘どころに突っ込んでしまうかもしれないと、お断りしておきます)

あるうら若き田舎牧師の娘、家庭教師が就職をした場所はイギリス・エセックスの古い館、伯父が後見人の両親を亡くした幼い兄妹の教育をみることになる。男の子(マイルズ)も女の子(フローラ)もかわいい子たちで美形で行儀もよく、家政婦頭のグロース夫人とも仲良くなって、清潔で広いお城のような館と自然に囲まれて、詩情豊かな生活が待っていると、はりきっているヒロイン。

う~ん、これってどこかであったような・・・デュ・モーリア『レベッカ』や、シャーロット・ブロンテ『ジェーン・エア』も、バーネット『秘密の花園』だって雰囲気に似てるぞと・・・、でも断然違いますね、そんなロマンチックな不思議さではない、エロティックなあやしい秘密がただよっています。

彼女は幽霊に遭遇するのですが、古い塔の窓でだったり、木影の鬱蒼たる湖のほとりや、夜月光に照らされた芝生の上だったりするのです。その幽霊は彼女だけしか見えないようです。

幽霊(というか男女の幽霊たち)は、彼女の前任者女家庭教師と使用人の男・クウィントらしいとだんだんにわかってきました。

家政婦頭のグロース夫人が言うには、クウィントは名うての下品な悪党、屋敷では鼻つまみ者。前任者の美しい家庭教師ジェスル先生と恥知らずな関係になって、子供たちにも悪影響を与えたらしい。が、何故かもう二人とも亡くなってしまったていたのだった、ということが分かってきた。男は事故死、先生は家庭教師を辞めて故郷に帰ってから病死したという。だからお屋敷に未練があり幽霊となるのでしょうか。

普段はかわいらしくて天使のような兄妹が、陰では幽霊たちと交信しているとヒロインは思うような。それを何とか助けたい、と願っているヒロイン。お行儀のよい美しく可愛らしい少年はませてはいないし、妹は無邪気でかわいらしいのですが、それは本当の姿か。

しかし10歳の少年である男の子(マイルズ)に惹かれているヒロインは複雑である。幽霊を利用して、ついに男の子を独り占めにしょうと・・・。とうとうヒロインは知ってか知らずかある作術を使うのです。

ところがヘンリー・ジェイムズは上記のようなくっきりとしたストーリーにしていません。曖昧模糊の文章。ひねりにひねった難解ともいえるストーリー展開。解説によると『ねじの回転』→「ひとひねり」「ひとねじり」だそうです。しかしだからこそ情緒不安定にさせられて余韻たっぷり、だまされてしまうようなのですね。

この小説の最初に戻ると、クリスマスイブに古い屋敷で奇妙な物語を語り合うことから出現したとなってます。イギリス人はそういう幽霊譚が好きのようですね。デュ・モーリアの『レベッカ』も生い立ちがそんな風だったとか。




わたしはこの創元社文庫(南條竹則・坂本あおい訳)を読みましたけど、新潮文庫、光文社古典新訳文庫などありますね。





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最終更新日  2019年03月07日 08時51分17秒
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