読みにくいというので敬遠していたのが何だったのか。
唯々暗喩を駆使しての論理が複雑で難儀して読むを覚悟していたが、ストーリー展開もなかなか凝っており面白い。これはうれしい驚きだったし、これなら抄訳ではなくてもよかった。
でも、複雑な構成とたとえ話のような暗喩が多いことは確かで、この抄訳版三冊と訳者鈴木道彦氏の『プルーストを読む』を同時に参考にして読み、しかも抄訳版には訳注がとても多くてそれも読みながらの読書は、年取って読んだところをすぐ忘れてしまう今よりも、もう少し若かったらよかったのに思ったけど。
それでも、今度は全訳で物語を楽しみ読みながら、プルーストの言わんとするところの「自分の時の過行くまま」に思いをはせ「自分の小説を読むように」したいなあと思ったことは確か。