ある美人女子大生が学生寮から謎の失踪、幾日か過ぎる。地方警察官の地道な捜査といったら、すぐに思い出すのは松本清張さんの初期作品の新鮮さですけどね。
「構造がいたってシンプル」で淡々と物語が進むのに、読むのが止められない、というのは惹句どおり。清張さんにはにじみ出る暗さがありましたが、こちらは深刻なストリーなのに淡々としていて、しかもその当地の警察署長と巡査部長のキャラクターがだんだんに濃厚になってくるのは、ほほえましいものがありまして、のちの「警察ものの」お手本でもありそうです。アメリカミステリーの古典(1952年)でしょう。