杉村三郎探偵の活躍シリーズ、中編3章、事件に潜む人間の歪んだ闇を解き明かす。
というとかっこいいようだが、杉村三郎さん、とてもとてもクールな探偵にはなれなくて、事件の重みを逡巡するのですけど。
人は誰もが独り、時の川をボートを漕いで進んでいる。だから未来は常に背景にあり、見えるのは過去ばかりだ。川沿いの景色なら、遠ざかれば自然に視界から消えていく。それでも消えないものは、目に見えているのではなく心に焼きついているのだ、と。(「華燭」より)
どれほど辛い過去だろうと、それはあなたの歴史です。昨日のあなたがあってこそ今のあなたがあり、あなたの明日があるのです。受け入れて前向きに進まなければ、幸福な未来への道は開けません。(「昨日がなければ明日もない」より)
過去事件は完結しても、主人公ともども新たな事件に遭遇するのでしょう。
だからシリーズは続く。