モノトーンなのに鮮やか。冷たいけど生々しい。
(瀧井朝世さんの解説より)
忘れられない思いの作品だったので、再読しました。
しかし、
自分の3年前の感想
「庶民の哀歌」を見ますと、忘れられない作品と思ったわりにはあっけらかんとブログしておりました。
特に短編6篇(「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「水の棺」「氷平線」)のうち最初の「雪虫」が何とも言えずいいのです。オール読物新人賞デビュー作だそうで、これで世に出ましたという作品だからでしょうか。そもそもの桜木さんワールドのはじまり。
どんな風にいいのか?ストーリーがうまい。情景が湧いてくる。
芳しい牧草の中での交歓、牧歌的風景。高校以来付き合ってるいい年の男女の紆余曲折。
持っていかれる感情。明るい中の哀歓をかみしめたくなる。余韻が嫋々とそして納得する。