フランス文学風にいえば
「他者との関わりの関係性を思索的に体験することの合理性」
となるのかな
でも、紛れもなく日本社会の不合理性の中での自己確立の文学ですが
平凡だけどハンサムな夫、舅姑と同居するも仲良く
穏やかでしあわせな、いい条件の結婚
しかし、可愛い娘が生まれたけれども、仕事復帰がうまくいかなかった
それには夫の協力が少しもなかった、など
壊すまいと自分だけが我慢しているかの漠然とした不安と不満
そして、若いときの愛人に再会し、不倫に走ってしまう
その彼は謎めいていて、再教育するような逢いかたに心も体も刺激される
そのつきあいから次第に自己に目覚めるヒロイン
なぜフランス文学を持ち出したかというと、
性愛や快楽の圧倒される描写からヒロインの自覚が始まるからです
恋愛大国のフランスならではの自己確立と自立に悩む姿
昔読んだボーボワールの小説を思い出しましたので
自分が何者か知らなければどのような関係もなりたない
ヒロインは世間知らずというか、幼さから脱皮していなかったのです
夫も姑も自己を持った他人であることをわからなかった
島本理生さんの作品は初めてですが、見抜く力が鋭い作家さんですね
自己確立は年齢に関係性はありません
いつわかるのか?一生知らないままなのか?
興味深いことです