文学(フィクション)は若さの感性も大切です。
島本理生さんの小説は、妙に危なっかしいところもありますが、確かに説得力があるのです。
危なっかしいところとは、主人公、徳永比紗也の過去からくる性格描写によって真田幸弘、如月観たちが振り回される雰囲気はわかりますが、それぞれ、偶然に再会し過ぎる点などはちょっと不自然かもしれません。でも比紗也のストイックな行動がそうさせる可能性もあります。
説得力を感じるのは、なにに比紗也は打ちのめされているのか、わからない男たちの描き方がうまいです。視点がするすると3人を行ったり来たりするところなど、行間を色濃く漂わせます。
所詮男性は女性を理解できない。その道のりは紆余曲折、正解はないのだと思います。
『Red』の結末と同じように『イノセント』の結末も安心してはなりません。