映画でいうとナレーションで追憶を語り、映像が流れていくように進んでいくという趣向。
先生と生徒の恋愛、特別なことかと言うと珍しくもない出来事なんです。
先生にあこがれる、高校の先生にやさしくしてもらった、先生に告白された、卒業後先生と結婚した。
そのようなことはリアルでも見聞きしますし、禁断の恋と言うと大げさですが、ちょっと眉をひそめるようなことでけどね。
揺れる年齢の感性や情緒はよくわかります。
女性は幼くても妙に面倒見がいいというか、大人の心を読みます。
生徒は先生が味方になってくれたことが忘れられないのですが、大人である先生の弱さも飲み込んでしまいます。
それが恋愛になり、執着になって・・・。
そこがこの小説のテーマでもあり、島本理生作家のテーマでもあるのでしょう。
その後の作品『Red』で結晶したように思います。
『Red』の完成度から言うとこの小説は少々ごたごたしていて、くっきりと描けていないですね。
追憶というのは案外難しい構成なのかもしれません。
40万部のベストセラーで、映画化もされていたそうですが
それは「なんとかのベストテン」に選ばれたからかもしれないと思ってしまいます。