(上)の感想の最後に読むのが大変と書いたが、エネルギー溢れる文字の氾濫に、頭がふらふらの状態になって、いやいや老体にはどおっと疲れが出てやっと読み終わりました。
第1巻、第2巻、第3巻の構成になっていて、第1巻は語り手主人公サリームの家系図から始まります。母方の祖父の青春、その妻祖母との結婚のいきさつ、サリームの母の青春、結婚、そしてサリームが1947年の歴史的なインド独立の真夜中に生まれます。その家族の記録がぶっ飛んでいて面白いのですが、しかしこの第1巻の終わりでこの物語の仕掛けがわかってしまうのです。
さあ、第2巻、第3巻はどーする、です。でも心配はいりません。アラビアンナイトも真っ青、奇想天外の冒険&インドの歴史的事実をからめた考察・批判なり、インド観光地案内です。
というと漫画チックですが、近代世界文学にはない、超現代世界文学の真骨頂なのでしょう。マジックリアリズム!これからますます世界の文学にこのエネルギーはあふれるのでしょう。
わたくしはこのハードカバーで読みましたが、上下巻あわせて574ページ数、上下二段の活字組はもっと若いときにだったららくだったのに、と思ったことでした。