カテゴリ:読書メモ
「愛人業」事件は覚えておりましたが、「カジマナ」?ネットで調べて、そのネーミングの妙におかしくなりました。わたしもちょっと意地悪な見方をしていたでしょう。
その後「後妻業」なる事件も起こり、ますます男性の問題がくっきりしてきたと思うのですが、この文庫の解説をなさっている山本一力さんは、この小説を「女性同士の友情と信頼である」と言い切っていらっしゃっるようで、それもあるがそんなことおっしゃってるから、それが証拠のようなものですよ、と言いたくなります(笑) たしかに雑誌記者の「里佳」と、大学時代からの友人で妊活中の「伶子」の友情との信頼関係が描かれています。獄中の「カジマナ」こと殺人容疑者「梶井真奈子」への面会もそんな風になって行きます。若くも美しくもない「カジマナ」がどうして男性を惹きつけるのか?理知的なキャリアウーマンの「里佳」と「伶子」が突き止めようとします。けれども実は「里佳」がボーイフレンドとうまくいかないのや、「伶子」が夫とちぐはぐになってしまう理由も一緒に解ってくるのです。 男性の歴史的遺物遺伝子との闘いなんですね、つまり男と女の役割分担とか何とかの都合のいいごまかし。古くて新しい確執。 昔のわたしたちのように「若いうちに売らねば、ゆき遅れる」とばかりにお見合いで永久就職したのから、現代の婚活大作戦で結婚にこぎつけたのに至るまで、いえ、恋愛の末結婚したとしてもその男と女の行き違い、この現代のコロナ離婚やら荒れ模様のSNSをみれば、ず~っと続いている闘いのようなもの。 でもこの小説はそんなガチガチの闘う話ではなく、全編、バターのこってり、まろやか、いい香りにつつまれて(それがなんともうまいのだけど)おもしろかなしく、やっぱり努力するのは女性だったか・・・というもの。 痒い所に手が届くようにとても痛快な小説です、女性の問題?いいえ男性の問題で、と読み解きました。それは、男が人間という生き物として、きちんと一人で生きているのかい?ということです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年07月16日 08時41分57秒
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