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やっぱり読書  おいのこぶみ

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2020年07月26日
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カテゴリ:読書メモ
17世紀、350年前のペスト・パンデミックのドキュメンタリー風の小説。しかもあの『ロビンソン・クルーソーの冒険』を書いたディフォーという作家の作品ですよ。ディフォーが生まれたのがその頃、新親や親戚の話を聞いたり、調べたりして、書いたはそれから50年後(初版発行は18世紀初め)と。それにしても古い、なにしろペスト菌の発見も1894年まで待たなければならない(北里柴三郎さん!)時代、果たして現代に通じるものがあるのか?と思って読みましたが、、、。

時は1664年9月初め、場所はロンドン。ペストという悪疫はそれまでに時々発生しては恐れられていたのだが、オランダでまた流行りだしたという噂を耳にしたロンドン市民、H・Fさんが物語の語り手。そうこうしているうちにロンドンのある街に1~2の感染者が出てくる。そして翌年の1665年(日本では寛文5年)を大変な年にしたのでした。

田舎に逃げた人も多かったけれど、商売が心配でロンドンに残って、生き延びて長生きしたH・Fさんが、見聞きした真実の記録を残そうとしたわけは、当時の当局も秘密主義であったし、口から口のセンセーショナルなデマ的伝承はあったけど、印刷物もなかったからいつの間にか忘れれ去られていく、そのことを憂えてでした。

まあね、17世紀ですから、迷妄な盲信の行動、健康者も感染者も一緒に家屋ごと閉鎖してしまう施策だとか、大穴を掘ってたくさんの犠牲者の酸鼻な埋葬風景や、おどろおどろしいところがいっぱいあります。

でも、細菌もウイルスも科学的にわかっていないにもかかわらず、この現代になんと似ていることか。「死亡週報」なる感染死者数の発表に一喜一憂する人々、狂乱のような行動をする人がでる、社会的弱者の不利益というか一番被害を受ける、当局の施策の不備、経済を回さなくては困ること、などまったく、今を読み解いているようです。

ひとつ面白かったのは、3人組の庶民がだんだんひどくなる状況に怖じ気てロンドンから脱出するサバイバルのところ。周りの村だっておいそれと感染しているかもしれない市民を受け入れませんから、人里離れた森に野営するのがロビンソン・クルーソーの生活創意工夫を彷彿させて、筆運びの勢いありましたね。

カミュの『ペスト』とはまた違った感ずるところがあります。人間は繰り返してきたのだなあと。







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最終更新日  2020年07月26日 12時59分06秒
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