メアリ・H・クラークの最初の数作品はスピードと面白さが半端ではなかった。
『子供はどこにいる』『誰かが見ている』『ゆりかごが落ちる』の3作品は忘れられないほどの印象があったはずなのだが、ふと
『誰かが見ている』を何十年ぶりに再読したら、ストーリー展開はすっかり忘れていたのであった。
ということで、二度目の夢中、あっという間に読んでしまった。異常者の犯罪に巻き込まれて、絶望のどん底に落とされ、普通の暮らしが遮断されて、苦しみと憂愁。書かれた時代が1970年代と古いので、もちろんインターネットも携帯電話もないし、電話がダイアル式の通信手段なのにスピード感があるのは、アメリカはニューヨーク市とその郊外が中心の舞台で、クラークという作家の筆力がいいのだろう。
とにかく儲けものの再読だった!!
今の時代、もっとスピード感あふれる面白いものがあるだろうけど、文学名作というのでもないが、読みでのある本はほかにもあるだろう。この文庫今は絶版のようで、古本でしか手に入らないらしいけど、読み継がれていようだ。