長い間、敗戦後の占領政策で洗脳され、国内が経済的に発展すればそれでよいというようにのんびり暮らしてきた日本。「国防」というキーワードが意識されだしたのは、拉致事件が明るみに出た頃から強くなったのではと、わたしは思います。
鎌倉時代の世も昔のこととはいえ、やはり狭い国内でだけで覇権争いをしていた。そんな時代に日蓮というお坊さんが現れ「外敵が攻めてくるかもしれない」と予言、その諜報員のような働きをした若者の物語を通して、やんわりと国を守るということを解き明かされているような作品です。
主人公は千葉の先端で育った孤児の「見助」。「日蓮」に出会い、関わっていくうちにはるばる九州の沖の対馬まで旅をして行ってしまうというのが上巻。
時は鎌倉時代の後期、政府(幕府)は権力闘争に明け暮れ、そして疫病と天変地異、庶民は疲弊しておりました。そんな時には宗教が絡んでくる。世は念仏宗の「南無阿弥陀仏」と唱えてさえいれば幸せになれると、上つ方にも下じもも念仏宗一辺倒、そこに日蓮が警告的な説で異を唱え挑むのです。
蒙古襲来、歴史教科書での記憶ありますが、帚木さんの想像力と創造の物語は臨場感あります。