「こういうのっていいなあ」と面白く読みました。
主人公は東大卒の警察官僚ですが、頑なに自分の信念をつらぬいています。融通の利かない性格もあいまって周りに「変人」と言われております。自分は出世したいためにキャリアを目指し努力してきたのではなく、悪いことをしたら謝り反省する、法に違反したら処罰を受ける、そういう普通のことに重きを置くという信条なのです。いわゆる上級役人エリートは、自分のために栄達を望みますでしょう。だから少々方向の違う主人公は職場では浮きがちです。しかしそれが意表を突いていて、沈着冷静に次々と難問に立ち向かっていくこのキャラクターを作り出した作者の慧眼に好感度です。
確かに「警察小説」では新しい方向です。わたしの好きな松本清張さんがご存命なら、真っ青になってたかもです。
わたくしが知らないだけでかなり前にブレイクしていたのですね!映像化されてもいて。
シリーズの次作『果断』も期待します。