ついあてにされ、行動でも心意気でも妙に力んで引き受けてしまう、これが長女に生れたついた者のサガ、わたしも長女だからよくわかる。わかるけれども、お人好しな要領が悪いところもあるようだ。
という『長女たち』の「家守娘」「ミッション」「ファーストレディ」中編3つの内容。
3編とも母親を介護することになって娘が奮闘するのだが、それらに登場する老いた母親たちが、モンスターのごとき、阿修羅のごとくわがままでもの凄いし、どんなに尽くしても満足もお礼もない母親の娘に対する「私物化」が情けない。そんなに激しく描かなくてもと、もう高齢のわたしなど身を縮めてしまうけど、篠田さんのオカルトめく筆はうまくて参ってしまう。
母親の立場、娘の立場の両方に感情移入して読んだ。寄り切られっぱなしでもなく、娘たちの再生もほのめかされていて、それがホッとさせられる。