カテゴリ:読書メモ
青春は未来への希望、正義感からの闘い、などあるが、異性への渇望も大きなひとつ。藤沢周平描く立花登はこうだ。
巻(一)『春秋の檻』の中の「女牢」での物語が印象深い。それは患者の妻ではあるけれども、登がひそかに惹かれてて初恋のひとになった「おしの」との場面。獄医の登は女牢でその人と再会。「夫殺し」の罪ある「おしの」。あした死刑を受けるその女性の望みは登に抱い欲しいと。そして実行する。「これでいいんだ」と思った登の青春。 有名な漱石の『三四郎』での、旅宿の同部屋になった女性に悶々とした三四郎、結局「いくじなし」と言われた不甲斐ないような青春の真逆に比べると、一段とみずみずしくほんとうを感じる。 だからこそ、身近な「おちえ」と結ばれる最終章の盛り上がりの場面にちらと描写される、 表町の不動様の位置に、登は心あたりがあった。登の心に、今も消えがたい傷を残している女、亭主殺しのおしの。その殺された亭主の友だちだった参吉をさがし回ったときに、通りかかった場所だ。 ここを読んで「登」青春の終わりへのもの悲しさ、なんともいえない情緒漂うのを味わった。 突拍子もないけど、こんな唄を思い出す お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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