1454175 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
2021年05月31日
XML
カテゴリ:読書メモ
「高台の家」「獄衣のない女囚」の中編二つ

再読、この前の時は「獄衣のない女囚」が面白しろかった記憶があり、今回は「高台の家」の方が興深かった。

解説者森村誠一氏の文章で「ストーリーに入る前の薀蓄が長いので、たどり着くときには脱力してしまうかも」と言ってらっしゃるようにプロローグが饒舌だ。主人公がその「高台の家」になぜ行くようになったかと「東洋史」の薀蓄、その家があるのは東京のどんな屋敷町か、そのお屋敷の形、周りの雰囲気等々、微に入り細に入りだ。しかし、清張好きにはその長い清張節が何ともたまらないということをあらためて思わされた。

それともうひとつは懐かしの昭和の風景に、昭和期を過ごしたものにとっては、どっぷりと浸かれるのもうれしい。

「高台の家」雑誌掲載は1972年、「獄衣のない女囚」雑誌掲載は1963年、ここがポイント。

「獄衣のない女囚」は女性専用のアパートメントが舞台。
古いアパートの部屋代が8千円、そこへいくとこの小説の女子公営集合住宅は6千円だから、3~40代のベテラン独身女性会社員の給料が3~4万円、電化商品や家具を揃えて優雅に暮らせるのだが、「女の楽園」ではなく「女の牢獄」かも、というストーリ展開。

などと数字を読むだけでも懐かしいのは、わたくしだけかな 笑



【中古】 高台の家 PHP文芸文庫/松本清張【著】 【中古】afb

​​
清張ミステリーの特色は、こんな悪いやつらが本当にいるのかとおもいながらも、等身大に描かれている登場人物に、ふと身の回りを見まわすような現実味があることである。
(中略)
​現実は事実の中に噓がいっぱいはめ込まれているが、小説は虚構の中に、人間や人生の真実が鏤められている。

上はこの文庫の解説者森村誠一氏の文章、このPHP文芸文庫は1979年の文春文庫を底本に2011年に出されたが、その時に森村氏が書き下ろした解説。清張ファンを自認するだけあって素晴らしい読み取りだなあと、ご本人も大作家なのに失礼を顧みず言ってしまうよ。
松本清張は戦後の昭和と共生したような作家であった。

という森村氏の言葉、大いにうなづいた。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2021年06月01日 13時31分37秒
コメント(4) | コメントを書く
[読書メモ] カテゴリの最新記事


PR

プロフィール

ばあチャル

ばあチャル

カテゴリ

コメント新着

ばあチャル@ Re[1]:『時の扉』(06/23) todo23さんへ 邦生→邦生 ありがとうござ…
todo23@ Re:『時の扉』(06/23) 懐かしい名前を見かけ、私も久しぶりに読…
alex99@ Re:2024年1月の読書まとめ(05/26) おひさしぶりです ご無沙汰しております …
七詩@ Re:あれから(05/09) おかえりなさい ばあちゃるさんの読書日記…
イサムちゃん@ Re:『鬼怒川』有吉佐和子(03/28) お久し振りです❣ ずっとお待ちしておりま…

お気に入りブログ

船井電機破産、不可… New! alex99さん

Google・Microsoftが… New! tckyn3707さん

ネネ エトワールに… New! 天地 はるなさん

楳図かずおの漫画の… New! 七詩さん

徘徊日記 2024年10… シマクマ君さん

2024/W55 ノマ通信(… ノマ@320lifeさん

サイド自由欄

フリーページ

耽溺作家の作品群


山本周五郎の世界


清張ワールド


クリスティの手のひら


時代物の神様正太郎


宝石箱


子供の頃の読書


作家別読了記録【あ】行


【あ】 日本文学


【ア】 外国文学


【い】 日本文学


【イ】 外国文学


【う】 日本文学


【ウ】 外国文学


【え】 日本文学


【エ】 外国文学


【お】 日本文学


【オ】 外国文学


作家別読了記録【か】行


【か】 日本文学


【カ】 外国文学


【き】 日本文学


【キ】 外国文学


【く】 日本文学


【ク】 外国文学


【け】 日本文学


【ケ】 外国文学


【こ】 日本文学


【コ】 外国文学


作家別読了記録【さ】行


【さ】 日本文学


【サ】 外国文学


【し】 日本文学


【シ】 外国文学


【す】 日本文学


【ス】 外国文学


【せ】 日本文学


【セ】 外国文学


【そ】 日本文学


【ソ】 外国文学


【た】行


【た】 日本文学


【タ】 外国文学


【ち】 日本文学


【チ】 外国文学


【つ】 日本文学


【ツ】 外国文学


【て】 日本文学


【テ】 外国文学


【と】 日本文学


【ト】 外国文学


【な】行


【な】 日本文学


【に】 日本文学


【ぬ】 日本文学


【の】 日本文学


【ノ】 外国文学


【は】行


【は】 日本文学


【ハ】 外国文学


【ひ】 日本文学


【ヒ】 外国文学


【ふ】 日本文学


【フ】 外国文学


【へ】 外国文学


【ほ】 日本文学


【ホ】 外国文学


【ま】行


【ま】 日本文学


【マ】 外国文学


【み】 日本文学


【ミ】 外国文学


【む】 日本文学


【メ】 外国文学


【も】 日本文学


【モ】 外国文学


【や】行


【や】 日本文学


【ゆ】 日本文学


【ユ】 外国文学


【よ】 日本文学


【ら】行 【わ】行


【ラ】 外国文学


【り】 日本文学


【リ】 外国文学


【ル】【レ】【ロ】 外国文学


【わ】 日本文学


【ワ】 外国文学


【共著】【マンガ・コミック】


「読みたい本・注目の本」記事録


『世界の「今」に迫る10冊』


吉屋信子『私の見た人』の昭和の作家


ウェヴスター『あしながおじさん』に出てくる本


日本の作家(ちくま日本の文学全集収録)


昭和の作家(1962年 朝日新聞記事より)


映画鑑賞会


2024年


カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
X