辻堂魁さんの
日暮し同心始末帖6、7『縁切り坂』と『父子の峠』
この夏、ゆるく沸かしたふろ水にハマっている。汗の噴出した熱い肌に気持ちいいから。
このシリーズもそんな風に読み進んでいる。
背景を江戸時代にとっての平同心龍平の家庭生活は穏やかで平和だ。そして現代でもよく起こるような事件を担当する。例えば、娘が無謀な結婚に走った困惑する親とか、家庭内暴力に悩む妻の悩みや、詐欺にあって老夫婦を自殺に追い込む事件。
そう、主人公の解決はクールではあるけれども、いったん家庭にかえればホッとするという仕掛け。ところが『父子の峠』は遂に自家に災難が、息子が誘拐されてしまうのだ。懊悩と憤怒は想像通り、解決するのだが。
主人公龍平が得意の剣劇で決着をつけるその情景は凄絶なんだわ、むかし男友達に借りた白戸三平さんの漫画『カムイ外伝』などのすごい場面もどきを想像してしまう。いつも思う、穏やかな多くを語らない文面から「ぶわっ」と噴き出す汗を感じるのはなぜだろう?