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やっぱり読書  おいのこぶみ

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2022年12月10日
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カテゴリ:読書メモ
『大地』パール・バック(再読)

第一部「大地」は祖父ワン・ロン(王龍)が小農から逞しく賢く、大地主にはい上がっていく物語。広大な中国の大陸的ともいえる強い生命力を感じ取るところが、『大地』の主題として印象に残っていたわたしは、第二部第三部はすっかり忘れてしまっていたのが再読時。

記憶漏れの
第二部「息子たち」では裕福な大地主になった王龍の3人の息子それぞれの生き方、特に軍人になってある地方を侵略統治する三男ワン・フーの個性的な頑固さを中心に描かれる。

​第三部「分裂せる家」は孫の世代、ワン・フーの息子ユアン(王淵)が主人公。父親に溺愛されるのだが、子供時代はおとなしくいじけたように成長する。優柔不断ながら、祖父の土に対する愛着を持つ。ひょんな(女性がらみ)ことから国家罪として死刑になりそうになるが、一族からかき集めた賄賂で逃れ、アメリカに6年留学する。農業を学ぶ留学中、そこでもメアリーという恩師の娘との恋愛にも煮え切らない。帰国後も自国の発展途上のあり様(1920~30年ころ)を見て、相変わらず悩み通しのユアンだが、あれよあれよという間にメイリン(美齢)という自国の女性とハッピーエンド、まるでハリウッド映画みたいな終わり方であった。

さて、三代にわたる中国男性たちの物語だが、あなどれないのは登場する女性たち。

​「大地」のワンロンの最初の妻アーラン(阿蘭)の超寡黙で働き者、彼女の功がなければ小農家から脱出できなかったね。でも、大地主となりて第二夫人、第三と手前勝手なワンロンなのであった。しかし、晩年は献身的な第三夫人、リホア(梨花)と土を愛する質素な生活を送るしあわせさ、それも誠実な神様みたいなリホアあってこそ。「息子たち」ワンフー(王虎)の第一夫人もしかり。第二夫人の息子ユアン(王淵)を我が子のようにやさしく包む頼もしさ。彼の恋人メイリン(美齢)もアメリカ時代のメアリーも、頭の良い素晴らしい女性に描かれている。​

アメリカ人のパール・バックが両親ともども長きにわたって、中国大陸に住み暮らし、深い理解をしたからこそ中国女性の(東洋の)我慢強い誠実さを描きとったのだ。









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最終更新日  2022年12月10日 14時29分07秒
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