『みずうみ』川端康成
読んでびっくり、ストーカー、未成年者との不純行為、置き引き。
しかし、そこは川端康成の佳麗な文章で、書かれたのが昔も昔1954年なので。
ま、現代でなくとも警察沙汰になるような、一人の男のモノローグ的な小説。
「桃井銀平」それがこの男の名前だからして、なんだかすごいなあ。
で、銀平さんが軽井沢の古着屋でズボンやワイシャツ、セーターを、おまけにレイン・コオトまで、置き引きしたハンドバック中のお金で買いこみ、着かえるところから始まる。
「置き引き」としたけれども、要は妙齢の気になる女性をストーカーして気味悪がられ、女性が投げつけたハンドバックを持ってきてしまったのだ、ということが明かされていく。女性の後を付けていく趣味(?)の始まりは、教え子との恋愛での戯れに始まったとか。
その不道徳きわみない、彼の行動や想いが独白風「意識の流れ」となって綴られていて、だけれども、そんじょそこらのだれかれには書けないだろう、美麗というか、シュールというか、許せねえけども川端康成文学だねえ。