カテゴリ:ばあチャルの読書記録
まだまだあった、読み残しの清張作品。文庫本にて楽しむ。
『美しき闘争』(角川文庫)と『蒼い描線』(新潮文庫) 昭和時代を感じるのはおもしろいし、しかも古びていないところがすごい。 両書とも熱海や箱根が舞台、そしてストーリー展開によって、日本全国縦横に旅する、その土地土地が目に浮かぶ。 『美しき闘争』(角川文庫)1962年雑誌に連載、1984年カドカワノベルズ刊行 『蒼い描線』(新潮文庫)昭和33年7月から週刊誌に連載、昭和34年(1959年)に光文社から刊行 巻末解説。ほんとうにほんとうに清張さんの作品は多いのだ。 清張さんはわたしが児産みが一段落して(笑)子育て真っ最中の1972年ごろから、文藝春秋社の全集を買って読んでいた。カッパノベルズなどで同時進行に読んでいなかったのだからというわけで。 特に全集の最初の巻数は清張さんが選んだ(傑作と思われたかどうか?)ばかりだったので、傑作集のような限られていたのものだったのだね。その後、文藝春秋社の全集は続巻を出したようだけど。 両書とも女性の出版業界における編集者が主人公、働く女性をめぐる描写の昭和なのが、かえって面白い。 ストーリ展開の調査旅先地名も描写も、わたしが行ったことがある、住んだことがあるところが多い。知った土地名だからか、なお深いなあ、なつかしいなあと、わたしが年とって経験していることも悪くない。 山口瞳『血族』 山口氏の作品と言えば、サラリーマンの明るい哀愁ものと思っており、このような自伝的作品とは思いもしなかった、失礼してたよ。 佐藤愛子『血脈』つながりでおしえていただいていたのだが、グズグズしていてやっととりかかり、新鮮さに瞠目した。だいたい履歴なんていうのは興味ある人物でも、面白くもないのが多い。日経の「私の履歴書」シリーズも大概そう。 もちろん、その波乱万丈なゆくたてにもよるのだけれども。 『血脈』の方はその一族の突拍子のない人物像が縦横無尽に異な行動をするのだし、小説仕立て、愛子ワールドだからおもしろかったのだけどもね。 山口氏のは謎解き風、一章ごとのまとまりの文脈でたたみかけるようでいて、冷静沈着な文章がうまい。 一家の古いアルバムに、兄と自分が同じ月数の赤ん坊の姿で写っているのに、双子ではない? そりゃ子供の頃にこのアルバムを見れば怖いだろう。 なんだろうね、わたしたちの世代は山口氏のような文章術に好感を持つのかな。 ***** わたしの日常では、二番目の孫娘が我が家に寄宿して大学に通学することになった。これで2人でうち倒れていることの心配なくなったが、それよりも生活雑事、忙しさ倍増のほうがしっくりするのかもしれない。 まあ、現代大学生の風景でも楽しめるかいな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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