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やっぱり読書  おいのこぶみ

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2023年07月30日
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辻邦生・水村美苗共著『手紙、栞を添えて』

3度目の再読。
辻邦生氏の作品を読み続けているので、気になって。
おふたりの文学に対する博識がものすごいのだけれど、書簡という形式からくる親しみやすさ、解りやすさが、本好きの心をゆさぶる。

今、読書中の作品は『夏の砦』
まだ前半なので、言い切れないが『廻廊にて』をより深く説いていくような小説に思う。

その前に​『作品集 1』​の短編も読んでいる。
ま、それだけでも辻氏の思想にどっぷりつかっているという感じ。

「遠い園生」 
作者19歳のセンシビリティな作品。
離婚して去っていく母と少年。そして、父とのかかわり。母との別れの姿が切ないが、困惑してるだろう父と雪遊びに興じる、幼いゆえにほのぼのとしている描写がういういしい。
「城」 
遠景として見えている城跡に、行ってみようとしても、行く計画につねに故障が起こる。作家らしい主人公のなかなか書きあげられない小説との、相乗効果が面白い。
何かをなす、ということのエネルギーはどこからくるのだろう。
「影」 
これは労災じゃん、なぜそんなに忖度して身をすり減らすのか(怒!)と現代の頭は思うけど、ふた昔も前なら、こんな風なしがらみは当たり前のこと。影とは良心の呵責に追いかけられること。「人間の精神(意志、欲求、知能、判断、記憶)の力はランプのともしびのよう。ランプのまあるい周りにしか届かない。」は真贋だ。
「ある晩年」 
あるべきところにあるべきものが収まるのが、幸せに感じる初老の法律家。愛人の女性とその息子にすら、冷静に対峙してしまう。だが、息子の死事故によって、愛人が息子との突然の別れに精神の病にたおれるのを目の当たりにすると、不条理を受け入れ、心を開くが…。
「旅の終わり」 
イタリアのある街で知り合ったジュゼッペ家族との交流。国木田独歩の「忘れ得ぬ人々」のような。
「蛙」 
ボッシュという画家の絵「手品師」が題材。
わたしは知らなかったのでウエブで検索。世の中、寓意に満ちた絵画は多い。
でも、そんなところにいる蛙にびっくり。
「異国から」 
パリ、スペイン、シチリア、チロル、フランスの田舎シャルトルと小説のような紀行文のような、作者の姿と心が見えるような素敵な文章。読み返したくなる。

『鎌倉駅、徒歩8分、空き室あり』越智月子

辻氏の作品​を読んででいる合間なので、むしろ肩の力が抜けたようになり、骨休めになった。
しばらくこの作品のようなライトノベル(とわたしは思っているのだが)を敬遠していたが、読んでみるとこれもいいものだ。






ピーマン食べて酷暑を乗り切ろう!!





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最終更新日  2023年07月31日 07時40分11秒
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