『緑のなかで』椰月美智子
解説の斎藤孝さんも書いてらっしゃるが、
「青春とは人生のある一つの時期ではなく、一生持ち続ける心の在り方」という、サミュエル・ウルマンの有名なフレーズもあるけれど、やはり青春時代は一時期のもので懐かしくなる。
小説では
『青い山脈』『青が散る』。古くは
『たけくらべ』と読んだものが浮かぶ。
その現代版のひとつ。
タイトルが青じゃなくて緑濃い季節になっているところ、青は古めかしくて緑が新しいというわけでもないが、清冽な印象であった。
「緑のなかで」が大学生生活で、併編されている「おれたちの架け橋」が高校時代。子の側から見た親子の関係と両親の大人事情、学生生活での友達との関わり。
わたしから言うとライトノベル風だが、ユーモアも交えてさらりと描く現代風と言おうか。それもいいなあと思う。
若き時代の
思い出をいつまでも色あせさせないのが、若さの秘訣かも。