『青い壺』有吉佐和子
この作品もうまい文章、巧みな構成。
さながら青い壺から、アラジンの魔王が飛び出して語ってくれるような、磁器の青い花瓶をめぐる人間模様、あるあると思いながら微苦笑。
作者がわたしの同時代作家だから、そのころ話題の作品は昔に読んでいるつもりだったが、究めていなかったらしい。
『恍惚の人』を再読してそれに気が付いたのだが、
『非色』『青い壺』と未読作品を読み進めるにつけ確認。
作者のこの傾向は
『悪女について』や『不信の時』にあったのはもちろん、きっと既読の
『紀ノ川』や『有田川』も牧歌風の小説ではなかった(?)のだと思えてきた。
出版界の不振が古き作品を復刻してくれる、本好きには良きことかな。