『家族じまい』桜木紫乃
最終章の「登美子」のたたずまいが好きだなあ。
わたしもそうなりたく、努力しているんだけど、思惑通りに行くもんか。
なるほど、家族とは思い通りに動かないんだよね、収まるところに決着しないの。
和気あいあいの、すべてに順調、幸せな一家でしたってのは、ウソが混じっているものなの。
桜木紫乃氏の凝った文章にはめまいがするほどだが、「智代、乃里の姉妹」「父猛夫、母サトミの両親」のていねいに辿った軌跡は、印象奥深い。その創作は悪魔的。
そう、人はみんな波風立てずに普通の生活を、し切れているわけではない。