カテゴリ:名作の散歩道
ジェーン・エアという女性が両親を早くに失って、少女から娘へ他人の中で苦労して成長する物語。
豪壮な館での家庭教師、ロチェスターというミステリアスな館主とのロマンス、手に汗握る展開、そして幸せに…というのが10代のころの読後感。読書録を見るともう一度再読しているらしいのだが、その感想は忘却の彼方…というわけで。 今回、じっくり読んでこんな小説だったのか!と驚いた。 まず、ヒロインの性格が秘めた情熱からはほど遠い、たおやかなものではない。恋する城主ロチェスターもものすごく嫌なやつ、そして極めつけは、荒野をさまようジェーンを助けた青年牧師セント・ジョンの性格も自己主張の強い策謀たけた嫌らしいやつ。 なんてこと!主要登場人物全員に寄り添えないではないか。人物たちが美男美女ならぬはいい、けれど各々の性格の我執、ぶつかり合いがすさまじくて、なんとも辟易するくらいだ。 と、違う印象に驚きながらも、長大な、ののしりあいのような会話が続くその内容は、作者ブロンテの18世紀ならではの、女性の自己確立への意気込みがひしひしと迫ってくるものなのだ。自己確立、自立ということは強い意志の現れ、それとブロンテさんの作家魂が加わったのだと思う。 さて、200年後のいまはどうなのか?ガラスの天井はつき破れていない。 読み継がれる名作ゆえん。 新潮文庫のこのカバー感想と合ってません(笑) こちらの新訳も読んでみたい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年08月10日 10時21分32秒
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