ある生きがい
私の街に、誰も買ってる人を見たことがない文房具屋さん(ちょっと昔の駄菓子屋風の暗いお店の感じ)があった。でも間口二間の一応三階建てのビルだが。商品が殆どたな晒し、ほこりはついてないけどコクヨでも旧バージョンのものばかり。側に学校も無いのだから、変なとこにあったこの文房具屋さん。私は宅配便を利用していたが。だから知っていたのだが腰の曲がったおばあさんがやっていて、これが趣味なんだって。海辺だか川辺に別邸もあり、おじいさんの趣味はつりで...って話こんだことあった。地味目の服の彼女、宅配便の伝票の字がすごく美しいの。手際がいいの、会話が洒脱なの。ところが、去年の暮れつぶした。(閉店した)「えっ、やめるの?」って聞いたら、彼女曰く「自分でしたくて始めたことは自分で始末」潔いね!どうなるかなーと思っていたら、お店部分をすぐ下町らしい小粋な造作に直したから、ほんとに生きがいだけだったのだとその贅沢さに感じるものがあった。今日もその真新しい格子戸の前を通った。