「天国と地獄」黒澤明(1963年)
はじめにこの映画は夫との初デイト記念の映画と申し上げます(笑)時は1963年初夏神宮球場の阪神戦を観戦の予定でしたが、雨で中止になり、新宿に出て映画を見るということになったのでしたその当時は映画も華やかな娯楽休日とあって席も離れ離れにしか取れなかったことを覚えています鑑賞後、居酒屋で「すごく、面白かったね」と感想を言い合い「特急こだまの洗面所の窓」と「病院の焼却場の煙」は強烈な印象にさて、それから55年・・・時々TVで放映されていることは知っておりましたが、見る機会はなく昨日、BSでの何回目かの放映に、たまたま二人とも時間があって今度は椅子を並べ、大画面TVで迫力満点の鑑賞でしたところが、ストーリや背景をいろいろ忘れているものですね、息子を誘拐されてしまう主人公(三船敏郎)が靴の会社の重役だったのですね~あのころは「銀座ワシントン靴店」とか「ダイアナ靴店」とか会社が銀座だったものですからわたしたちOLの御用達でしてねお給料をいただくと、目星をつけていたハイヒールなどを買いに行ったものでした今のように履きやすい靴を究めるなどではなく、足を素敵な靴に合わせる時代そのためにわたしは美しかった足が「外反母趾」になってしまった(涙なんてのは余計な話でしたねぇ第一、誘拐された男の子が主人公の息子ではなく、運転手青木の息子だったとはそれも忘れていました主人公らが頻繁に「青木」「青木」と呼び捨てにするところからも時代を感じますねこの青木役の俳優さん、はまり役ですね~それに刑事さんたちや会社の人物たちやその他大勢、その後の映画やTVで大活躍の俳優さんたちでしたねみんな若くてね、あたりまえか!わたしたちも若かったしね横浜の古いときの高島屋、伊勢佐木町、江ノ島、江ノ電、腰越、東海道線、酒匂川などの映像もその後の移り変わりを知っているだけに、昭和史の映像版ですねもちろん映画史に残る、映画らしい映画で静と動、人間の奥深い心理、ラストの叫びは新鮮、かつ普遍性がありますね犯人山崎努さんのそれまでは一言もセリフ無しが利いて、演技迫力でしたモノクロの画面の煙突からピンクの煙が上がる場面はやっぱり忘れていましたので、すごく新鮮でした~~~実はふたりともほんとに細部・細部を忘れていて、今更ながら「いい映画だ」と感動して、でも、146分、寄る年波には勝てずくたびれたふたりでした・・・・エド・マクベインの作、87分署シリーズ『キングの身代金』が原作とか映画とはこういうものだ