『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』磯田道史
大雪が降ったすぐ後に東京で一週間過ごしましたが極寒、その冷凍庫状態に参ってしまい、すっかり風邪をひいてしまい散々でした。もちろん室内は暖かいのですが、原因は乾燥。コンクリートのマンションはしばらく住んでいないとカラカラに乾くのですね。と、ちょっと風邪の症状を軽視してました。こちらに帰ってきて熱が37.3度ほど出たので念のため、先ほど医院に行ったら、が~ん「インフルエンザ B型」とすぐわかりました!くすりをたくさんと、外出禁止令が出てしまいましたよ。おかげで、閉じこもって本はよく読めますが、要件が片付かないのでは困りますね。その点ネットはいいですね、うつしませんから。*****さて、タイトルの本について前にも書きましたように司馬遼太郎さんの歴史文学を読むと、他の方の歴史文学が「あれ?違うよ」と思ってしまう影響がありました。世間でも「司馬史観」といわれ、インパクトの強い個性的な作家の定評です。この磯田さんの新書『「司馬遼太郎」で学ぶ日本史』はそれを読み解いてくれます。司馬遼太郎さんは膨大な歴史の資料から独特の歴史を作った作家だということです。しかし、「司馬遼太郎を読めば日本史がわかる」というのは、半分は正しくて、半部は間違いです。(P5「はじめに」より)当然ですね。作家ですから想像力たくましく、そこに個性が照射されてお書きになったのですね。その個性というのが、司馬さんの戦争体験(太平洋戦争)で暗い青春を送った昭和の初期時代の記憶が色濃く影を落として、「どうしてそうなったのだろう」という疑問から明治維新期、そしてそれよりまえの戦国時代に起因を求めてさまよったのが司馬さんの文学になったという、磯田さんの読み解きです。そして司馬さんは昭和の時代戦争に突入していった歴史ものはお書きになれず(ならず)、遺言のようなものを「21世紀に生きる君たちへ」という文章で「小学国語6年下」(1989年大阪書籍)にもう一度くり返そう。さきに私は自己を確立せよ、と言った。自分に厳しく、相手にはやさしく、とも言った。いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ、とも言った。それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして”たのもしい君たち”なっていくのである。と書いて1996年21世紀を迎える前にお亡くなりになったといいます。あたりまえのことですが、明治維新期の無私の心で日本のことを考えた人々の史実からさぐりだされたのでしょう。それを考えると重みがあります。この本を読まなければ小学生向けの教科書は知らなかったと思いますので。