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笠井潔さんの作品は、「三匹の猿」に続いて2作目。
「三匹」は面白かったんですが、ちょっと文章がハードボイルド作品っぽくてちょっと僕には合わないかな、と思っていたんですが、この作品は良かった。 幻の大作で、手にしたものを破滅させるという「梟の巨なる黄昏」が作品を通して大きな意味を持っている点は、なんとなく恩田陸さんの「三月は深き紅の淵を」に雰囲気が似ているような。 この作品も4編の連作だし。 う~ん、でもやっぱり大分違うかな。 この作品の面白いところは、ある1人の作家を目指す中年男性とその妻の出来事を追っていて、時間軸でみると、4編ともほぼ並行しています。それぞれのエピソードが違う人間の目から語られていて、1つ読みすすめるごとに、単純に見えていたできごとが、実はそうではないという事が少しずつ見えてきて、という所が見所でしょうか。 おお、しかも今気が付いたんですが、4編ともほぼ同じページ数。 う~ん、どうなんでしょう。連作小説って、大体そうなってるんでしょうか。 なんだか、ぴたりとページを合わせるのも難しそうですね。今度から他の作品を読むときにも気をつけてみます。 厚さはそれほどではないですが、しっかりとした読み応えがあって良かったです。 他の作品も読んでみたくなりました。 それにしても、この小説で描かれている、作家を目指す夫が情けない。 若い頃は、賞もとったことがあったけど、今は全然作品を発表していないという人で、それを奥さんとかのせいにするんですよ。 わがままでダメの夫の代わりに家計を1人で支えているのに。 何だか怖いですね。僕も40過ぎてそうならないように仕事をがんばらないとと思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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